がん(悪性腫瘍)は、正常細胞とは異なって急速に増殖するという特徴(性質)を持っており、化学療法はこの違いの部分を利用した治療方法です。
<化学療法(抗がん剤)の歴史>
19-20世紀にかけて人類は梅毒や細菌による病気を抗生物質や免疫などで克服することに成功しました。
この流れを受け1950年代に、毒ガスの一種であるナイトロジェンマスタードによる悪性リンパ腫の治療実験から化学療法が始まりました。これが成功したため、他のがんに試用されると共に、数多くの化学療法剤(抗がん剤)が開発され現在に至っています。
さらに副作用を抑える薬剤も開発され、現在ではより多くの化学療法剤(抗がん剤)を投与できるようになりました。これにより、白血病や悪性リンパ腫では治癒が得られるようになってきました。
<化学療法(抗がん剤)の仕組み>
抗がん剤は、がんの治療に用いられる薬剤のことです。がん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞そのものを破壊する作用を持っています。作用の仕方によって、さまざまな種類の薬があり、単独、あるいは、数種類を組み合わせて用いられます。錠剤やカプセル剤といった経口薬(のみ薬)と、点滴のように血管に直接投与する注射薬などがあります。
一般的に抗がん剤と言われる薬は、「抗がん剤」と「分子標的薬」という二つの大きなグループに分かれます。
化学物質によってがんの増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療を「化学療法」と呼び、がん細胞だけが持つ特徴を分子レベルでとらえ、それを標的にした薬である「分子標的薬」を用いて行う治療を「分子標的治療」と呼びますが、一括して「化学療法」と表現されることもあります。
がん(悪性腫瘍)は、どんどん増殖しているという特徴を有しており、この増殖する細胞を障害することを目的に開発されたのが化学療法剤です。
そのため増殖する細胞はがんに限らず、どんな細胞でも障害します。ところが、人の60兆個と言われる正常細胞の内、僅か0.5%の3000億個の細胞、例えば骨髄、消化管粘膜、毛髪などは増殖をしています。
化学療法剤を投与すると、当然のようにこれらの細胞も障害されるので、これが白血球減少、嘔吐、下痢、脱毛などの副作用に繋がってしまうのです。
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