2018年03月15日 |
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2018年3月3日(土)、フクラシア八重洲(東京都中央区)にて「再発・転移へのあきらめないがんセミナー」を開催。当施設がん診療部長の島袋誠守医師と東京放射線クリニック院長の柏原賢一医師が、がん患者様とご家族を対象に講演しました。
東京放射線クリニック 東京放射線クリニックは今年4月に開院10周年を迎えることもあり、柏原医師は「東京放射線クリニックに於ける治療~10年の歩み・今後の取り組み」をテーマにお話ししました。 2008年に開院して以来、この10年間に2,000名を超えるがん患者様に寄り添ってきた治療実績について、どのようながん種の患者様が来院され、どのような治療を行い、どのような効果が得られたか等を紹介。 同クリニックが注力している高精度放射線治療の特徴を詳しく説明した上で、今の日本で保険診療としてできること、保険ではできないけれど治療効果が期待できるケースもあることなどを実際の症例画像をスライドに映しながら示しました。 また、がん患者様の約6割が放射線治療を選ぶといわれる米国の現状についても言及。 「残念ながら日本では放射線治療の有効性が十分には知られていません。放射線治療であれば、QOL(生活の質)を落とさずに効果が期待できる治療法がまだまだあります。他にも治療選択肢があることを知っていただき、患者様の意思でご自身が希望する治療法を選んでほしい」と締めくくりました。 がん診療部長 島袋誠守 医師 島袋医師は「標準治療とがん免疫療法」をテーマに、標準治療(手術・放射線治療・化学療法)の特徴や臨床試験について説明した上で、がん免疫療法にはどのような種類があり、どのような効果が期待されるのか、また副作用はあるのか等について丁寧にお話しました。 また、人の免疫力は10代半ばから後半をピークに低下していくことにも触れ、免疫力が低下すると抑制できない「がん」がでてくること、起床や就寝、食事の時間を3ヶ月間一定に保つことで免疫力が上がってくることを述べ、がんと闘う上でいかに免疫が重要な役割を担っているかについて言及しました。 その他、厚生労働省が公表している「サバイバー生存率」(※1)や同施設で実施したQOL評価(※2)の結果も紹介し、日進月歩のがん医療においては、今を乗り越えることで次への期待が高まること、がんは手強い敵だからこそ使える武器(治療法)はすべて使った方がよいこと、免疫療法がその武器のひとつになり得ることを強調しました。 外科医として25年以上がん治療に尽力し、標準治療だけでは治せなかった患者様を多くみてきたからこそ言える、説得力のある講演内容でした。 ※1 がんと診断されてからの経過年数に応じた、その後の生存率。1年生きるごとに、その後さらに生き延びられる確率が高まっています。 ※2 同施設で免疫療法を受診された方に対し、免疫療法の受診前後で「身体機能」や「体の痛み」などのQOLが改善したかどうかのアンケートを実施。 全体的な評価として、「改善した」と回答した方は23%、「悪化せずに維持」と回答した方は52%でした(18名からアンケートを回収)。 会場の様子 会場にはおよそ50名の方が集まり、熱心に医師の話に耳を傾けていました。 講演終了後の質疑応答では、事前にいただいた質問に医師が回答するとともに、セミナーに参加された方ご自身やご家族の病状に関するその場の質問にも丁寧に回答。個別に各クリニックの医療相談に申込みされる方も多数いらっしゃり、大変有意義なセミナーとなりました。 |
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