2017年12月14日 |
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2017年12月2日(土)、フクラシア八重洲(東京都中央区)にて「再発・転移へのあきらめないがんセミナー」が開催。当施設がん診療部長の島袋誠守医師と東京放射線クリニック院長の柏原賢一医師が、がん患者様とご家族を対象に講演しました。 東京放射線クリニック 柏原医師は「緩和における放射線治療」をテーマに、生活の質(QOL)を高めるために放射線治療が有効であることについて話しました。 「緩和ケアを終末期医療だと考えている人がいますが、それは違います。緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげることであり、QOLを改善するためのアプローチです」と説明。QOLの改善は、つまり自分らしい生活を送り、幸せを感じることで、「延命」がすべてではないことを強調しました。 もう抗がん剤治療しかないと言われても、痛みや症状を軽減させるための放射線治療や、手術できない・したくない方に対する増感剤を併用した放射線治療など、日本ではあまり知られていない高精度放射線治療の選択肢があり得ることを、具体的な治療例とともに紹介しました。 また、日本の保険診療と欧米の考え方との違いについても言及。日本の保険診療では、がんの大きさや数が5㎝以内、3個以内でないと定位放射線治療(※1)ができないのに対し、欧米ではそれを超える大きさや数のがんに対しても放射線治療が有効とされている現状を説明し、保険診療に限らなければ他にも治療選択肢があることを示しました。 ※1高精度放射線治療のひとつ。腫瘍をピンポイントで照射できるため、従来の放射線治療に比べて副作用が少なく、より効果が期待できます。 がん診療部長 島袋誠守 医師 島袋医師は「がん治療」をテーマに、がんは一筋縄では治せないからこそ、使える武器(治療法)はすべて使うことの重要性について話しました。 外科医として25年以上がん治療に携わってきた島袋医師は、手術や抗がん剤など標準治療だけではがんを治せない患者様を多く経験。がんの手強さについても言及した上で、免疫療法を併用するという選択肢があることを説明しました。 免疫療法は必ずしも効果を保証できるものではないとしつつも、当施設で実施したQOL評価(※2)の結果を示しました。その結果によると、全体的な評価として、免疫療法を受診した前後で「改善した」と回答した方は23%、「変化なし」は52%、「悪化した」が24%でした。 この結果に対し島袋医師は「当施設で受診される方は余命を宣告されていたり、他に手立てがないと言われている方がほとんど。その中で、全体の約7割の方が悪化していないというのは、とてもよい結果だと思っています」と見解を述べました。 また、国立がん研究センターが発表している「サバイバー5年生存率」のグラフを示し、「これは、1年生きるごとに、その後さらに生き延びられる確率が高まることを表しています。今を凌ぐことで日々チャンスはやってきます」と締めくくりました。 ※2同施設で免疫療法を受診された方に対し、免疫療法の受診前後で「身体機能」や「体の痛み」などが改善したかどうかのアンケートを送付。 20名ほどの方から得た回答結果を本セミナーで発表しました。 会場の様子 会場には60名以上の方が集まり、熱心に医師の話に耳を傾けていました。講演終了後の質疑応答でも、ご自身やご家族の病状に関する多くの質問が相次ぎ、質問しきれなかった方はセミナー終了後に医師やスタッフに個別に相談されるなど、大変有意義なセミナーとなりました。 |
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