用語集

各用語解説

アルファベット

  • NK細胞療法

    NK細胞療法とは、患者様の血液からNK細胞を取り出して、体外で活性化・増やした後、体内に戻す治療法です。これにより、がん細胞を攻撃する力を強くすることが期待されています。副作用が比較的少ないとされる治療です。

  • NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

    NK細胞とは、体内に侵入したウイルスや、がん細胞を見つけて攻撃する免疫細胞のひとつです。
    「ナチュラルキラー(生まれつきの殺し屋)」という名前の通り、身体にとって異物とみなしたものを攻撃する特徴があります。

  • T細胞

    リンパ球の一種で、免疫の司令塔の役割を持つ「ヘルパーT細胞」と、がん細胞などを直接攻撃する「キラーT細胞(CTL)」に分かれます。免疫療法の中心的存在です。

  • WT1抗原(Wilms Tumor 1)

    WT1抗原は、がん細胞に多く見られる特殊なたんぱく質の一部です。このWT1(ペプチド)をがんの目印として使うことで、ペプチドワクチンや樹状細胞ワクチン療法などで免疫を活性化させます。
    WT1は白血病や肺がん、腎臓がん、卵巣がんなど、いろいろな種類のがんで高く発現することが知られています。

あ行

  • アフェレーシス(成分採血)

    アフェレシス(apheresis)とはギリシャ語で「分離」を意味し、血液から特定の成分(白血球、血小板、脂質など)を取り出す治療に使われます。例えばLDLコレステロールを減らす(除去する)目的で使われることもあれば、当院の樹状細胞ワクチン療法では白血球の一部である単核球(樹状細胞のもと)を取り出すために行います。

  • 医療費控除

    1年間に一定額以上の医療費を支払った場合、確定申告で税金の一部が戻ってくる制度です。ご自身だけでなく、同一世帯のご家族の医療費が対象になります。詳しくは最寄りの税務署にお問合せください。

か行

  • 活性化リンパ球療法(LAK療法)

    活性化リンパ球療法は、T細胞やNK細胞などのリンパ球を体外で活性化・増やした後、体内に戻す治療法です。リンパ球は本来がんを攻撃する働きを持っていますが、がんに負けてしまうこともあります。
    そこで、いったん血液を取り出して、特殊な方法で活性化・増殖させ、戦える状態にしてから戻すことで、がんに対抗させます。

  • がん抗原

    がん細胞に特有の目印(タンパク質)で、免疫細胞ががん細胞を認識するための手がかりになります。樹状細胞ワクチン療法やがんペプチドワクチン療法などでは、このがん抗原を使って免疫を活性化させます。

  • がん奏効率

    CT検査などの画像を用いた比較を行い、腫瘍が一定以上小さくなったもしくは消滅した割合のことを指します。がん治療の効果を判断する指標の一つです。

  • がんの転移

    がん細胞が元の場所から血液やリンパを通じて他の臓器に広がることです。がんが進行する中で最も深刻な事態の一つで、治療が難しくなる原因です。

  • がんの標準治療

    科学的根拠に基づいて、効果と安全性が確認された治療方法のことです。手術、抗がん剤(化学療法)、放射線治療などが一般的です。

  • がんペプチドワクチン療法

    がん細胞の「目印(がん抗原)」(=ペプチド)を体に注射して、体の免疫細胞にがん細胞を攻撃させる治療法です。

  • がん免疫細胞療法

    患者様の体から取り出した免疫細胞を、がんを攻撃しやすいように強化・活性化させて体に戻す治療法です。樹状細胞ワクチン療法、NK細胞療法、活性化リンパ球療法などがあります。

  • 抗原提示細胞

    体内に異物(ウイルスやがんなど)が入ったときに、それをT細胞に「見せる」役割を担う免疫細胞です。代表的なものは「樹状細胞」で、免疫のスイッチを入れる役割を担います。

さ行

  • 再生医療

    病気やケガなどで機能が失われた組織や臓器に対して、細胞を培養・加工し身体に戻すことで、機能の再生(回復)をはかる医療です。iPS細胞を用いた治療や幹細胞治療の他、当院が提供する樹状細胞ワクチンをはじめとしたがん免疫細胞療法も再生医療のひとつです。

  • 細胞傷害性T細胞(CTL)

    ウイルス感染細胞やがん細胞などを直接攻撃して殺すT細胞の一種です。体の中の「キラー部隊」ともいえる存在で、がん免疫療法でも重要な役割を果たします。

  • 自由診療

    国民健康保険や社会保険などの公的保険が適用されない医療サービスのことです。患者様が費用を全額自己負担します。美容医療や予防医療(人間ドックなど)、がん免疫療法などが含まれます。

  • 先進医療

    先進医療とは、厚生労働省が「安全性・効果に関する一定の根拠があるが、公的医療保険(健康保険)ではまだ認められていない医療技術」と位置付けている治療法です。新しい検査や治療法(例:陽子線治療、重粒子線など)が対象となることが多く、国がその有効性や安全性を評価している段階の医療です。生命保険会社でよくみられる【先進医療特約】の適用には、以下2つの条件を満たす必要があります。
    (1)厚生労働省が「先進医療」として承認している医療技術であること
    (2)厚生労働省に「先進医療」の実施・届出が正式に認められた病院であること

    樹状細胞ワクチン療法をはじめとした免疫細胞療法や幹細胞治療は、上記条件を満たず先進医療特約は対象外となることが多いです。詳しくは、加入されている保険会社へお問合せください。

な行

  • ネオアンチゲン

    ネオ(新しい)+アンチゲン(がん抗原)=ネオアンチゲンといい、遺伝子変異の過程で出現した新しいがん抗原(目印)のことをさします。正常な細胞には存在しないため、がん細胞特有の目印として免疫細胞が認識し、がん細胞を攻撃することが期待されています。

は行

  • ペプチド

    ペプチドは、アミノ酸がつながった短いタンパク質のことを指します。がん細胞には、正常な細胞にはない特徴的なたんぱく質があり、そのたんぱく質の一部(目印となる部分)を「ペプチド」として人工合成することができます。ペプチドを用いた免疫療法では、免疫細胞(特にT細胞)に「この目印を持った細胞(=がん細胞)を攻撃せよ!」と指令を出すように働きかけます。

ま行

  • 免疫機能

    体に入ってきたウイルスや細菌、異常な細胞(がんなど)を見つけて攻撃・排除する防御システムです。白血球の中のリンパ球などが中心的な役割を担います。

ら行

  • リキッドバイオプシー

    患者様の血液から、がんの遺伝子情報を調べる検査方法です。従来のがん遺伝子検査では、腫瘍の組織を直接体から取り出す(生検)必要がありましたが、リキッドバイオプシーでは、体内の血液に流れているがん細胞の断片(DNAやRNAなど)を調べることで、がんの有無や進行、治療効果、再発の兆候などを調べることが可能です。採血のみで検査できることから、患者様の体への負担が少なく、安全で繰り返し行いやすいというメリットがあります。がんの早期発見や治療の個別化に役立つ新しい技術として注目されています。

  • リンパ球

    白血球の一種で、主に免疫反応に関与します。T細胞、B細胞、NK細胞などの種類があり、それぞれが異なる方法で体を守ります。